第24章 かえるところ (死ネタ)
死は人間が恐れるもの。
それは闇であると、言っているのだろうか。
何も見えない暗闇に墜ちてしまった人に、寂しくないと伝えるように。
残されてしまった者も、黒に身を包む。
違う。
亡くなってしまった人の寂しさを慰めるためじゃない。
ただの、自分への。
死。
一瞬で壊された日常。
愛しい人は今日も帰ってくると、信じて。
信じて疑わなかった。
疑わなかったのに。
音を立てて、音もなく。
死を告げられた時、まるで闇の中に突然放り出された気分になった。
なぜ。
それしか、考えられなくて。
もう愛しい人はいないのだと、実感が全然なくて。
そのうち、なぜ自分が生きているのかも、なぜ世界が動いているのかもわからなくなって。
どこかに出かけただけじゃないの?
ちょっと遠出してて、いないだけで。
帰って来るよね?
お帰りなさいって、言わせてくれるよね?
ねえ。
帰って来るんだよね?