第22章 春眠
寝顔を上から覗き込む。
穏やかな寝顔。可愛らしい事この上なくて、それだけで疲れを忘れてしまう。
すうすうと寝息を立てる唇はわずかに開いていて、ダンテはそれに魅入られたようにしゃがみこんだ。
「…………」
そっと、指先で触れてみる。
柔らかい感触。しっとりとした唇に、ダンテの心臓が身体を叩いた。
触れたい。
もっと触れたい。
俺の。どうしてこんなに可愛いんだ?
俺をこれ以上どうするつもりなんだ。
――いい…よな?ちょっとだけだし。起きないよな?
衝動を我慢できない。
これはもしかしなくても寝込みを襲う事になるのだろうが。
しかしこんな状態で我慢しろなんていうのは、半ば拷問に近かった。