第10章 変化
吸っては舐め、なぞり、強く噛み。息継ぎの暇もないくらいの激しさに、は顔をしかめた。
そしてわずかに、息をしようとほんの少しだけ口を開いた瞬間。
ぬるりと、舌が侵入してくる。
「ふ…はぁ…っ や…!」
途端響き始める水音とヒュウイの舌遣いに、は身を震わせた。
まるでの全てを知り尽くしているかのように動き回り、恍惚とさせる。
さっきから、ヒュウイの手が背中を滑って止まらない。
その手は寝巻きの隙間を捉えると、するりと中に滑らせてきた。
冷たい。
それすらも、を縛る。
くちゃ ちゅ…っ ぴちゃ
……じゅ っぴちゅ…
極上の悦びと水音。
「ん…はっ ぅぁ…っん…ふ…っ」
荒い息がひたすら混じり。
互いに求めるように身体を押し付けて、服を破りそうな勢いで掻き抱き。
更に深く深く溺れる。
はぼうっとする頭の中、ヒュウイを薄目で見た。
いつもと同じ余裕の表情に、相変わらずだと思う。
本当に、甘美な夢だ。
ヒュウイと。
ずっと好きだった、好意を抱いていたヒュウイと、こうして舌を絡ませているのだから。
なのに、どうしてなのだろう。
右目から一筋、涙が流れた。
ヒュウイはそれに気付くと、の舌を強く吸い上げる。
唇を舐めて甘噛みし、ようやく顔を離した。
の息は荒い。
ヒュウイは、一度浅く深呼吸したのみ。
その彼女の耳に、ヒュウイは唇を寄せた。
が涙を流した。それだけで全てわかるというもの。
だが、こちらとて奪うと決めたのだ。
涙なんて、所詮演出にしかならない。
これを聞いたらどんな顔をするだろうと半ば興味をそそられながら。
低く、小さく囁いた。
「あの青いカタブツは、もう帰って来ない。一生な」