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【DMC】BLUE

第8章 髪切り



髪をすくう時に、そっと指先で触れた。

「………」

しゃくっ しゃく…

―――反応ナシ。

それに勇気づけられ、今度は指先を少し這わせる。
ぴくっとが震えた。しかし、何も言って来ない。

しゃく…

しゃく …しゃく

床には水のようにうねる紅。
髪を切り終えたバージルは、ソファにハサミを置いた。

「? 終わった?」

「あぁ…」

目に止まるのは、の首筋ばかり。
触れた時の温かさが今は冷え、それが無性に寂しくて。
中毒者のように、温かさを求めての首に手を当てた。

「……? なーに?」

「切った髪が…ついている」

嘘。
本当はついていない。

払うように手を滑らせる。指先で擽るように、撫でるように。
は大人しくしていたが、そのきめ細かい肌が時折震えるのをバージルは見逃さなかった。
我慢をしているようなの様子に、バージルの心に次第に悪戯心が広がる。

わざと唇を耳元に寄せ、吐息混じりに言った。

「どうした…?」

「…っ 何でもない!」

何でもなくはないだろう。頬もわずかに紅潮し、恥ずかしそうに視線をそらして。
バージルは嬉しくなり、大胆に首から肩のやわらかな線を撫でた。

「…っ バージル! も…いい…」

聞こえんな。
俺が聞かないのか。

こんな姿のを目の前にしては、止まるものも止まらない。いつもは先を考えて何もしていなかったのに、今日はなぜか余裕があった。

後ろからの頭を抱き込み、柔らかな頬に唇を当てる。
指は鎖骨を撫で、窪みを行き来し、やがて唇は移動して頬からの唇へと。

「あ…」

嫌がらないお前が悪い。
本当に嫌なら、はねのけてみろ。

絡み付くような甘い口づけを求め、唇を寄せ。


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