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【DMC】BLUE

第7章 決断



なるべく気配を消して足音を立てずに階段を降りて、リビングへ向かう。
こういう仕草は得意だ。こんな時に隠密術が生きるなんて。

階段を下りながら空腹まで感じる。思ったより心に余裕があるらしい。
そういえば、昨日のお昼を食べそこねてから、何も食べていない。


静かなリビング。
床に降りると、まるで癖のようにキッチンの方を見た。
ふと、その向こうのソファを目にしてぎょっとする。

ソファで座り、腕も足も組んでじっと目を閉じている人物。
バージルが、いた。

「………っ」

動揺。
もう起きてたの?それとも、昨日からここにいるの?

身体が動かせなくてそのまま立っていると、眠っているかのように動かなかった目が静かに開かれ。
更に緊張が走る。

「……………」

冷たいアイスブルーの瞳も、を見て揺れているようだった。
しかし、視線は外さない。


「…お、はよ…」

「…あぁ」

まるで昨日までの日常に軌道修正するかのような挨拶に、バージルは立ち上がった。
その足取りはいつもと全く変わらず、それが何だか不思議に思える。

「何か食べるか?」

「うん。お願い」

バージルがキッチンに立ち、変わりにがソファに座る。
居心地がいいのか悪いのかよくわからない静寂。
ただ、何も聞いて来ないのは有り難かった。

はテーブルに置いてある新聞に手をのばす。
静寂の中紙の音が響いて、何だか耳障りだ。
うまく回らない頭で何気なく目を通し、天気の欄を見て、は思わず口を開いていた。

「―――あ。 今日、雪降るって」

「雪?」

そう言った途端、思い出したように襲ってくる寒気。
気配を消すのに集中して気付かなかったが、部屋に暖房は入っていなかった。


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