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【DMC】BLUE

第6章 過去



問い。

「ヒュウイが本当に好きか?」

の目を見つめ、言う。
その視線にがんじがらめに囚われたように、は動けなかった。
思考すらも。

冷たいアイスブルーの瞳。こんなに強かったっけ?
すべて見透かされるような。見透かされているような。
嘘はつけない瞳。
ついたらすぐにばれる。

「答えろ。好きかと訊いている」

「…す…き……」

「本当にか」

うまく口が動かないのは、彼の視線のせいなのだろうか。
思った事を言っただけなのに、嘘をついているような気分になるのは。

自信は急速に失せる。混乱していく。
唇は、震えたまま動かない。


「……………」

答えないに、バージルは言う。
思考に留めを刺す。

「確かに昔は好きだったのかもしれない。だが、今本当に好きなのか?
今と昔は違う。人間は、お前は、成長していくものだ。恐怖と怯えと約束に縛られ、思い違いをしているのではないのか」

思い違い。


恐怖と
怯えと
約束。

殺してしまうかもしれない。
でも護らないといけない。
側にいなければ。
それが私の役目。
それだけが生きていく理由。存在意義。
人を殺して、私は私に安堵する。

「……………」

口の中がカラカラだ。言葉が出ない。
視線は固まったようにアイスブルーから離れず、その透き通った美しさの底に小さな自分が見える。

戸惑っていた。
なぜ?
前は迷わず、彼が好きだと言える自信があったのに。

「………ぁ……」

彼はそれから何も言わなかった。何も言っていないのに、それだけで十分だった。
の中で疑問が生まれては消える。さざ波に似た音と共に質疑応答が繰り返される。

ただそれは、圧倒的に質問の方が多くて。
答えられないものばかりで。


視線を外せない。
外せば、壊れてしまうかもしれない。
何が?
自分が?
わからない。
本当に、好き?
好きなの?
誰を?
彼を?
ヒュウイ様を?

ヒュウイ様?
誰?
主?
何?

私は
誰。

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