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【DMC】BLUE

第6章 過去



気持ちについて。

確信は持っていない。
表現出来るような言葉も持っていない。
気付いていない。
気付いていない。
本当に?

一度開いた箱の中身が外へ出るのに要する時間は、ほんの一瞬。

「ヒュウイのもとへ戻るのか」

「………うん。前よりかはだいぶ、毒抜けしたと思うから…だから」

だから?
だから、好きな者のもとへ?
今度こそ幸せに?
片時も傍を離れず?
俺の事も忘れ?

だからどうした。
それが何だ。
それくらいの事でこの気持ちを誤魔化せるとでも?
笑わせるな。

蓋をした箱の中身は、とうに出た後。


「少なくとも」

立ち上がったバージルは、を見下ろして強く言った。揺らいでぼやけていた想いが、機会を得て確かに強くなる。
真っ直ぐにを見据え。

「少なくとも俺は、お前にそんな顔はさせない」

「…え……」

ヒュウイに再会した時のの顔が、離れない。
恐怖に脅えた顔だった。あれが恋をした時の顔か?あいつはにそんな顔しかさせてやれない存在なのか?

それなら。
あんな顔をさせるしか能の無い男なら、俺が斬る。

「忘れるな。お前を想う奴がここにいるという事を」

「…想…え……?」

バージルはに近寄る。
はまだ理解していないようで、近づくバージルをぽかんと見つめている。

暗い過去が何だ。
殺してしまうかもしれないだと?
それなら殺す前に止めればいいだけの話だ。何故側にいる奴が気付かない。

それをしなかったヒュウイになど、は渡さない。

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