第5章 招かれざる客
は乾いた声で笑った。
「ごめん 突然巻き込んで…。ちゃんと説明するから」
「…………」
説明だと?
暗く、バージルの心に浮かんでくる闇。
隣にいるのが当たり前になりかけていた。気まぐれにしろ何にしろ、という変化を望んで招いてきたのは自分だった。
説明、だと?
説明してどうするつもりだ。
話すだけ話して、謝って、そして明日には去るのか?
心の表面がため息をついて言う。
やっと騒々しさから解放される。
心の底が真っ直ぐに叫ぶ。
行くな。
人間にここまで関わったのは久しぶりだった。人間の女に興味を持ったのはもっと久しぶりだった。
今までは身体を擦り寄せて来る女ばかりで、こちらを利用しようとする女ばかりで、容姿を誉めてくる女ばかりだった。
はそのどれにも当て嵌まらなかった。
ああこれが好きという事なのだと思ったのに。
凍結していく。
しかしバージルはそんな苦しさは表情には微塵も出なかった。出した所で見苦しいだけだとわかっていた。
その代わり、ばかりが辛そうな顔をしている。