第4章 熱
「ふふ」
何がおかしいのか、仄かに笑いを漏らしながらはバージルの胸元へ潜り込む。
バージルの身体にの身体が触れて。
の身体にバージルの身体が触れて。
の身体は、平均体温の低いバージルよりも冷たくて。
「………」
―――何だこのやらわかさは。
バージルは改めて人間の女の柔らかさに驚いていた。
脆く壊れそうなほどに柔らかく危なげなで、なのに壊れずに生きて。
力をこめたら折れそうな腕。彼女が戦うところは見た事がないといっていい程だが、こんな腕で悪魔と戦えるのかと疑問に思う。
躊躇ったが、ぎこちなく遠慮がちにの身体に腕を回す。
「思ったんだけど」
バージルの様子を見てが口を開いた。
「バージルって、女の人に触った事ないの?」
「…片手で数えるくらいだな」
は笑った。
「意外。女泣かせかと思ってた」
「人間の女には興味がない」
「…私にも?」
「………」
そうだ、と即答できない自分。
はバージルの肌に触れた。
「私はバージルが好きだよ。優しいし、強いし、何か変で面白いし…かっこいいし」
「………」
「ふふ。また困った顔してる」
「悪かったな」
ぎゅっとバージルのシャツにしがみつく。相手が一時は自分を見放そうとした事もあるというのに、一途で、どこか必死で。
目を閉じて、すがりつくようにしがみつくように。
「でも、そっかぁ…。人間の女には興味ないか」
「………」
黙るバージル。
ああ、違うと言ってくれない。本当なんだ。
の心に痛みが走る。
「貴様は…俺が怖くないのか」
不意に真剣な声が聞こえて、は目を開けた。
しがみつくからはバージルの表情が読み取れない。見上げてみる。
「何で怖いのよ。怖いっていうか、むしろ最初はバージルに腹が立って仕方なかった」
バージルはそれに思わず吹き出した。