第4章 熱
はで本当にバージルが従ってくれると思っていなかったらしく、少し驚いた様子で見上げている。
そうして見られると急に自分のしていることが気恥ずかしくなり、それを隠すように軽く睨みつけた。
「何だ。出ていってもいいのか」
「…んん」
ふるふる、と首を横に振り、軽く布団を持ち上げて招く。
迷ったら負けだ、とバージルは思い、何も考えずその布団の隙間に滑り込んだ。
ここまでしても、まだ嫌気が来ない。
何なんだこれは。
自分に驚く。
人間の女にここまでしたのは初めてで内心動揺している彼に対し、はなぜか嬉しそうだった。
身体をこちらに向けてバージルを見ている。
とりあえず横になってみたがそれから身体が動かなくて、バージルは視線を彷徨わせる。
熱はどうなった、と思い至りの額に触れる。すると、がたまらなくなったように吹き出した。
「困った顔」
「…悪かったな」
「……そっち、行っていい?」
二人の間は空いている。バージルはその距離を埋める事をしてはいけないような気がして、黙り込んだ。
熱っぽくうるんだの瞳を直視できない。身体が動くのをためらっている。
理由もなく縛られているような感覚に、バージルはもどかしさを隠せなかった。
「……そっち、行っていい?」
そんなバージルの躊躇いを見てか、が聞いてきた。
気を遣わせてしまった。
バージルはそれには答えず、たっぷり間を置いた後に遠慮がちに身体を動かす。に近づく。
それでもわずかに離れている身体。
その距離を、今度はが埋める。