第4章 熱
役目を終えたタオルを服の上に置き、もう一枚の新しいタオルを湿気ったシーツの上に敷く。
次いで自分の肌着を取ると、に再び向き直った。
「両手を上げろ」
「…悪者みたい」
体がさっぱりして少し余裕が出たのか、小さな声で軽口を言う。
素直に上げられた両手に自分の肌着の袖を通し、頭を通し、体を抱えて裾を下ろす。
バージルの肌着はには大きく、ロングTシャツを着ているような姿になった。
「悪いが、着替えが見つからん。洗濯の間はそれで我慢しろ」
「はぁい…」
しおらしい声。
役目を終えた、とバージルは一息ついた。元通りに布団を掛けてやり、服とタオルを手に持つ。
「何かあったら呼べ」
「行っちゃうの…?」
「洗濯がある」
「……」
歩き出そうとしたバージルはシャツを引かれて足を止めた。
見下ろすと、がぎゅっとシャツを握ってこちらを見上げている。
意外だな、とバージルは思った。気の強い彼女でも、こうした甘えるような仕草をするのか。
「何だ」
「……」
「言わないとわからん」
「………て」
「?」
「…一緒にねて」
冗談は寝て言え、と言いそうになったが、すんでのところで踏みとどまった。
自分の不注意で下衆に強盗に入られ、を傷つけられ、そのせいで熱を出しているのだ。はねのける気にはなれなかった。
―――それに……
それに、嫌な気がしないのも不思議だ。
罪悪感がそうさせているのだろうか。
ともかく、黙っていてもが引く様子はない。諦めたバージルは、寝付くまでならまあいいだろうと、手に持った服をまた椅子の上に戻した。
内心の困惑を打ち消すように溜息をつき、着ていたシャツの釦をひとつ緩める。