第1章 絶体絶命
ざあっと旋風が巻き起こった。
「!?」
一瞬遅れての横をかすめたのは、見るも鮮やかな青と銀。
風に乗ったかのようにふわりと動き、まるで体重を感じさせない。
───誰!?
ばっと後ろを振り返る。
その時はもう、一人の男が悪魔の死骸の前で刀を納めていた。
「……………」
呆然と立ち尽くす。
あまりに唐突すぎて、頭が追いつかない。
「…だ……誰……?」
「こんな所で何をしている」
男が振り向いた。
その姿を見ては目を見張る。
輝く銀髪を後ろに流し、瞳は冷たいアイスブルー。恐ろしい程顔立ちが整っている。
鋭い眼光がを捕らえて、視線を逸らせなくない。
男は妙に細長い特徴的な刀を持ち、警戒するように手をかけた。青いコートが風をはらんでひるがえり、流れるようになびく。
誰もが振り返るような精悍な顔立ち。
あまりに整ったその容姿に、は思わず魅入ってしまう。