第3章 目覚め
「大丈夫なのか」
そんなを見て心配になったのか、バージルが言った。
一言だが上辺だけではない言葉。本当に心配してくれている。
「大…丈夫。身体中痛いだけ」
バージルと顔を合わせられなくて、俯いたまま答える。
「そうか」
バージルは立ち上がった。
横目でちらりとを見る。
「傷の手当てをし直す。待っていろ」
「うん…」
バージルが部屋を出、ドアを静かに閉める。
足音が遠ざかるのを待つように間を置いたは、やがてため息と共に布団に寝転がった。
───何だか、声の感じが優しい気がするんですけど。気のせい?
まあ、仕方ないか。私のあんな姿を見たんじゃ誰だって罪悪感感じるし同情しちゃうよね…。
自分で思い返しても、よく耐えたと思うくらいなのだ。
傷められた身体が痛む。
「仕方ない」
「同情」
その言葉が重い。
同情で優しくされるということが、なぜか心につかえる。
一時の優しさ。永遠の優しさを望んでいるわけではないけれど。
今だけ。
今しか。
今なら。
心のどこかが、中途半端な優しさなんていらないと毒を吐いた。