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【DMC】BLUE

第2章 侵入者



「ん 血の味だ。いい味出してる」

―――もう… もうやだぁ…っ!!誰か助けて!バージルったらどこほっつき歩いてんのよ!

見たくない。感じたくない。ここから逃げ出したい。
激しい嫌悪とわけのわからない思いが更にぐちゃぐちゃになり、自身動転してきて。
解放してほしいと、終わらせて欲しいと、その思いも虚しく。

男はの表情に気分をよくしたのか、怪我の場所を片っ端から責め始めた。
一つずつ包帯を取り、傷を広げ、血を舐めとる。

あっと言う間には、いつかのような血だらけになった。
人間という生き物は、薄っぺらい皮膚一枚に守られて、なんて脆いんだろう。


「―――っ」

もう幾度目かの痛みに、反射的に体がびくつく。しかしの頭の中はぼんやりとしてきていた。
感覚までもが麻痺してくる。

―――もう、楽にしてくれないかな。終わりなんてないのだろうか。
もしかして、ずっとこのまま?
助けも来ず?

痛みに慣れ始めた体。
何で私はこんな目に…

「反応がねえと面白くねーなぁ。そろそろやるか」

ぼんやりとした意識の中、男の声。
は、体が動かされるのを感じた。

抵抗する気も気力もないは、されるがまま。
心の中で助けを呼ぶも
誰も来ない。

やっぱりね。来ないと思った。
は何だか期待する自分が哀れでおかしくて、少しだけ笑った。
こんな時に笑うなんてどうかしてる。
とっくに、どうかしてるのか。

結局私は、いつも一人。


男の手が、の腰をつかんだ。
濡らしている余裕はない。気持ちがはやる。
その中で、を引き寄せ。

――――?

不意に男は、首に冷たさを感じた。
それに振り返ろうとした、直後。

「貴様……何をしている」

低い、氷のような声。
男は目を見開いて硬直した。

首に、細く鋭い日本刀が。
刃がわずかに皮膚に食い込んだ状態で
少し力を込めればすぐに切れる状態で
押し当てられていた。


嘘だ……

物音も、気配もなかったのに。
まるでずっと見ていたかのような。
見られていたかのような。


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