第2章 侵入者
男は手当たり次第に掻き回していくつか物をポケットに突っ込んでいたが、やがて舌打ちした。
「ったく…本以外何にもねーじゃねぇか。…まぁいい。女がいるからな」
―――ヤバい……
の頭の中で警鐘が響く。
痛みも血が滲むのも構わずロープを外そうとするが、解けない。まるで焦らすようにぎちぎちと軋んで、一向に緩む気配はなかった。
男は必死になっているを見て、笑う。
「いいねぇ…その必死に助かろうとする顔、俺大好きだぜ。泥棒の醍醐味だな」
―――こいつ…最っっ悪!!!
は思いっきり男を睨みつける。意味がないとわかっていても、睨まずにはいられなかった。
しかし男はそれに怯んだ様子もなく笑みを浮かべ。
の首に手を伸ばす。
軽く締め付け、苦しげなに顔を近付けてささやいた。
「この家に住んでる青い男がいつ帰ってくるかわからねーからな。手早く済まそうぜ」
そう言うと次の瞬間。
空いているもう片方の、一気にの服を引き裂いた。
「!!!」
あまりにも唐突。目を見開いたに瞬く間に恐怖が広がる。
身体が知らず震えた。
何をされるのかが嫌というほど理解できて、抵抗できない自分に目眩のように視界が揺れた。
同時に激しい怒りに呼吸が止まりそうになる。