第2章 侵入者
気にくわない。
気にくわない。
は目を閉じる。
こんなのは初めてだ。
初めてはキライ。
いつも失敗するから。
どうしたらいいのかわからなくて、困惑して途方に暮れて何も信じる事ができない。
自身の自信も信じきれずに、手探りで進むしかない。
2度目からなら失敗しないでいけるのに。
しかし初めてを知らないと2度目は来ない。
失敗を見れるから、同じ失敗はしない。学んでいく。
学んで学んで学んだ先にあるものは、必ずしも成功とは限らないけれど。
はため息をついた。
手で顔を覆い、視界を闇で染める。そうすると気持ちが落ち着くような気がして、深くゆっくりと深呼吸。
きっとこれは、知らなくてもいい事だ。
は手をのけて薄く目を開く。
怪我が治ったらお礼を言って、お別れを言って、それで忘れられる。
普通の日常が戻る。
ふうっと息をついた。
もう考えるのはやめよう。早く怪我を治す事だけを考えよう。
頭の中を無理矢理切り替える。
ベッドのふちに座り直し、バージルが暇潰しにと置いていった本に手を伸ばした。
───本も読む気しない…。早くバージル帰って来ないかなぁ。
そう思った時。
カタン……
静寂を破るわずかな物音。
───? 窓から?
ベッドの横にある窓を見る。カーテンが掛かっていたが、人影が確かにあった。
人影は戸惑ったように揺らぎうろうろしている。いや、何かを探っているのか。
───バージル? 何でドアから入らないんだろ…何かあったのかな。
疑問も持たず。
今までバージルの事を考えていたせいか、不審感も違和感も持たずに。外を覗こうとベッドの上に乗り、カーテンを少しどかしてみた。
その瞬間。
バァン!
窓がものすごい勢いで開け放たれ、ジャッとカーテンがスライドした。
「!?」