第2章 侵入者
───あとどれくらいで治るんだろ
最近は、一人になるとそればかり考える。
何で?
早く治して動きたいから?
治して、鈍った身体を早く戻したいから?
早くここを出たいから?
怪我が治ったら
ここから出なきゃ
いけないから?
考えるのはバージルの事ばかり。
最初は、バージルにしか会わないからだと思っていたが、何か違う。
「───……」
は眉を寄せて、身体を起こした。
原因のわからないもやもやが胸の奥でうずまいている。それはあまりにもあやふやで、疑問なのか不安なのか憂いなのかもわからなかった。
───何でよ。
何であいつなの。
確かにぶっきらぼうだけど優しい。
あれで意外と面倒見がよくて、心配性で。
私への愚痴はいつもだけど、バージルが文句を言った事なんて一度もない。
でも私の怪我が治ったらそ、れでもう、終わりなのよ。
バージルは私の事を忘れて
私はバージルを忘れるのに。
そこで、声がする。
もう一人の自分が、疑問を投げ掛ける。
胸の内を暴き、晒し、気付かせる。
───本当に?
本当にバージルを
忘れられる?