• テキストサイズ

【DMC】BLUE

第11章 揺らぎ



「え…」

私?
今、何て―――

「くそっ!!」

ダァン!!!

驚いた次の瞬間ヒュウイが思いっきりテーブルを叩き、物凄い音には飛び上がった。
目を丸くしてヒュウイを見る。あまりに一瞬の出来事で、あまりに日常に溶けていて、何が起こったのか全くわからなかった。

なぜ。
ヒュウイはなぜ、自分の事を―――

わけもわからず固まり、ヒュウイを見つめる。
彼は忌々しそうに舌打ちをすると、ぎろりとを睨んだ。

「早く食えよ」

「…あ、はいっ」

怖い。怒っている。
しかしそれはが見た事のあるヒュウイの姿で、少しホッとした。
さっきのヒュウイはまるで別人。考えれば考えるほど、何かがおかしい。


―――いつ から?

もくもくと黙って食事をしているので、知らず考え込んでしまう。
ヒュウイがおかしかったのは今だけ?違う。
ソファで手を引かれた時も何か優しかった。
でも、朝起きた時―――押し倒して来た時のヒュウイは、いつものヒュウイ。

「…………」

煮詰まる。
何かあるような気がしたが、何もないような気もした。
ヒュウイは気まぐれだ。気まぐれで優しくされる事なんて、今までにいくらでもあった。
それに夢を見て、容易く壊された事だって、何度も。

「…ご馳走様でした」

手を合わせて言い、席を立ち上がる。
ヒュウイは何も言わない。
を止めないし、見ない。

それは意図してではなく、考え込んでいたからのようだった。
さっきから食事が進んでいない。眉間にしわを刻み、ずっと噛んでばかり。

さっきの事といい今といい、珍しい事もあるものだと思いながら、は食器を流しに置いた。

/ 130ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp