第6章 宿望…
僕は二宮に、僕の恋の相手が実の妹である事を打ち明けた。
母親は違うけれど、僕も智子も父様の子であることは間違いないのだから。
二宮は、ただ黙って僕の話に耳を傾けた。
一言も言葉を発することなく…
でも、
「軽蔑…したよな…?」
僕が聞くと、二宮は小さく首を振ってから、僕の肩を軽く叩いて、
「お前も辛いな…」
小さな声で言った。
二宮だから…同じように道ならぬ恋をしている二宮だからこその一言に、僕は胸の奥が熱くなるのを感じた。
「で、お前はどうしたいんだ? 妹君とその…」
いつもは饒舌な二宮が、珍しく口篭る。
僕はその様子から、二宮が何を言わんとしているのかをすぐに察した。
「智子を…抱きたいか…ってこと?」
「ああ、まあ…な…」
「そうだな…、抱きたくないかと問われれば、答えは“否”だ。出来ることなら…許されるのであれば、智子を…。でも…」
もし…もしも仮に、智子の身体のことを打ち明けたら、二宮は受け止めてくれるだろうか?
「でも、なんだ? 兄妹と言う以外にも何か問題でも?」
駄目だ…、やっぱり言えない。
智子の身体に、あんな醜い物が着いているなんて…
言えっこないよ…
「いや…なんでもないよ。話、聞いてくれてありがとう。少し胸のつかえが取れたよ」
二宮に礼を言うと、僕はずっしりと重い腰を上げた。