• テキストサイズ

愛玩人形【気象系BL】

第6章 宿望…


「ふふ、照は本当に心配性ね?」

遅れて聞こえてきたのは、確かに智子の声だった。

「ささ、皆さまお揃いですよ」

智子…僕の可愛い智子…!

今にも叫び出しそうな感情を抑え、僕は扉の向こう側をじっと見ていた。

それはじゅも同じで…

でも、照に促され、扉の向こう側に姿を表した智子を見るなり、僕の心臓はありえない速度で脈を打ち始めた。

「皆さま、ご機嫌よう」

胸元が大きく開いた、真っ赤なドレスに身を包んだ智子が、そこに立っていた。

違う!
智子じゃない…

僕の知ってる智子は、そんな端ない服を着たりはしない。

それに元の顔が分からなくなるまでの濃い化粧をしたりはしない。

もっと清楚で、それでいて天使のような微笑みが良く似合う少女だったのに…

それが今ではどうだ…

真っ赤に染めた唇の端を上げて笑う姿は、娼婦そのものではないか…

「あら、お兄様お帰りになってらしたのね?」

余りの変貌ぶりに、動揺を隠せないでいる僕に、向かい合わせに座った智子が言う。

それに対してどう答えていいものか、考えあぐねていると、僕の隣に座った潤が少し身を乗りだして、

「智子さん、体調は? もうすっかり良いのですか?」

智子に向かって投げかけた。

潤もやはり僕と同様…、驚きを隠せないのは、その声の震えからも感じ取ることが出来た。
/ 263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp