• テキストサイズ

愛玩人形【気象系BL】

第13章 特別編「偏愛…」


泣いて…いるんだろうか、潤の肩が小刻みに震え…

見兼ねた二宮が、僕の背後で小さく息を吐き出し、僕の肩を叩いた。

「智翔な、妊娠してるんだ」

「え…? 今…何て…?」

俄に信じられない告白に二宮を振り返ると、二宮は何とも言えない…、まるで苦虫を噛み潰したような顔をしていて…

「嘘…だろ? 智翔が妊娠だなんて…、そんなこと…」

何かの冗談だろうと…、そうでなければ勘違いであったと、そう信じたかった。

そんな筈はない、と…

でもそんな僕の願いは、静かに近付いて来た足音によって脆くも打ち砕かれた。

「本当よ、お父さん。私、妊娠したの。お腹に赤ちゃんがいるの」

瞬間、目の前が真っ暗になって、足元がぐらりと揺れたような気がした。

「妊娠て…、お前はまた十七になったばかりじゃないか…、それなのに妊娠なんて…」

冷静にならなければ、と…

自分に言い聞かせた。
何度も、何度も…

なのに僕の胸に押し寄せる波は、余計に泡立つばかりで…

「相手は…、相手は一体…」

僕は智翔の肩を掴んだ。

「痛いわ…」

智翔が訴えても尚、僕は智翔の肩を骨が軋む程に強く掴み、乱暴に揺さぶった。

そして、

「潤おじ様よ…」

智翔の口から吐き出された一言に、僕はその場に膝から崩れ落ちた。
/ 263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp