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愛玩人形【気象系BL】

第11章 信愛…


智子が強張った表情で見つめる前で、使い古しの晒を重ねたおしめも取り、小さな赤ん坊の股を広げた。

「どうなの…? ねぇ、兄さま…?」

智子が一瞬ごくりと息を呑んだのが分かった。

僕は赤ん坊の股をまじまじと眺めると、不安そうに顔を歪める智子の額に口付け、

「良かったね、智子…。この子は君が望んでいた通りの、花冠の良く似合う女の子だよ?」

枕元に置いてあった、道端に咲いていた花で編んだ花冠を智子に手渡した。

その瞬間、智子の目から堪えていた物が一気に溢れ出し、僕は堪らず智子を抱き締めた。

「この子に名前を付けて上げないとね?」

抱き締めた僕の腕の中で、智子が何度も何度も頷く。

そして急に何かを思いついたように顔を上げると、とても小さな声で、

「智翔(ちか)はどうかしら…」

と呟き、まだ涙の渇かない目を輝かせた。

「智翔か…。うん、悪くない」

「本当に? 本当に兄さまそう思う?」

「勿論だよ。櫻井智翔か…素敵じゃないか」

僕達は互いに顔を見合わせ笑を交わすと、傍らで眠る智翔の寝顔を見下ろした。

「とっても可愛いわ…」

愛おしそうに智子が智翔の頬を撫でる。

ついさっきまで、お猿さんみたいだって言ってたのにね?

現金なものだ。

するとそれまで気持ち良さそうに眠っていた智翔が、まるで火がついたように顔を真っ赤にして泣き出した。
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