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愛玩人形【気象系BL】

第10章 傀儡…


僕は信じられないと言った表情で父様を見つめ、首を何度も振った。

「信じたくないか…。それはそうだろうな、あれ程従順で賢い女は他にはそうはいないからな」

母様に対してなんて酷い言い草…

それでは動物とまるっきり変わらないじゃないか…

胸の奥に、父様に対する嫌悪感だけが、どんどんその大きさを増して行く。

「智子はな、暴漢に襲われた際に出来た子だ。つまり、どこの馬の骨とも分からん男の子なのだよ」

母様が…暴漢に…?

信じられない。

だって母様がそんな素振りを見せたことなんて、ただの一度もない。

「嘘だ! そんな話、僕は信じない!」

今にも殴りかかりたい衝動に駆られるけど、身体はピクリとも動かない。

「信じたくなければそれでもいい。ただこれだけは言っておこう。智子はお前が思う程清らかでも、無垢でもない。何せ獣の目の前に股を開いて見せた女の産んだ子だからな」

酷い…!
なんて酷いことを…!

僕はこんな人を今まで父様と慕っていたのかと思うと、反吐が出そうになる。

僕は握りしめた拳を床に叩き付けた。

そしてハッと顔を上げると、一瞬頭を過ぎった恐ろしい想像をそのまま口にした。

「まさ…か…、父様が…?」

ううん、そんな筈…ないと信じたい。

でも…

「父様が暴漢を使って母様を…?」

俄に信じ難いことを口にする僕を、父様が般若のような恐ろしい顔で見下ろしていた。
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