第10章 傀儡…
蝋燭の明かりだけが灯る部屋には、智子に似せた無数の人形が並べられていて、僕はその中に智子の姿を探した。
そして…
寝台と言うには似つかわしくない、赤い布だけが敷かれた台の上に、纏う物一つもない状態で横たえられた智子を見た瞬間、僕の中で怒りにも似た感情が沸々と湧き上がってきた。
僕の智子になんてことを…
僕は今にも窓を蹴破って部屋に飛び込みたい思いに駆られたが、奥歯をギリッと噛んで堪えた。
潤、早く…!
早くしないと智子が…
台の上で横たわる智子を見下ろす父様の目は、獣そのもので…
智子の素肌の上を這う手すら、おぞましく思えてくる。
触れるな…、僕の智子に…
触れるなっ!
人知れず握った拳に力を込めた。
でもそんな僕の願いも虚しく、父様は智子両足を開くと、小さな茎を口に含み、まるで飴玉でも舐めるように口を動かし始めた。
やめろ!
やめろやめろやめろっ!
ひくひくと膝を震わせ、妊娠のせいで少し膨らんだ腹が波打つ。
そして赤い紅をさした唇が開き、白い頬が徐々に赤みを増していく。
艶めかしく妖艶なその姿に、不謹慎だとは知りながら、僕の下半身が痛みを訴え始めた。
駄目だ駄目だ駄目だっ!
僕は頭を乱暴に振ると、いつでも突入出来るよう、強風が吹き付ける露台で身構えた。