第9章 惑乱…
遮る物のない窓から差し込む陽が無くなり始めた頃、潤が徐に腰を上げた。
その時、丁度夕飯を届けに来た二宮が部屋の扉がを叩いた。
「彼は高等学校時代の友人の二宮君で、今はこの部屋の事実上の名義人になって貰っているんです」
簡単に紹介して、僕は二宮の手から夕飯の丼を受け取った。
「そちらは?」
「ああ、簡単に言えば、“僕の義理の弟”になるかもしれなかった人…かな…」
僕の説明に、二宮は成程と頷くと、「宜しく」と言って潤に向かって右手を差し出した。
「こちらこそ…」
潤の手が二宮の手に重なった。
「その様子だと、こちらの事情も知っているようだね?」
「まあ…、詳しくは知らないけど、大凡の検討はついてる…と、言ったところですかね」
唇の端を持ち上げて、二宮が不敵な笑みを浮かべる。
「そうか、ならば話は早い。君にも協力して貰うことになるかもしれないが、その時は頼むよ」
「俺に出来ることであればね。俺もこいつには世話になったことだし…。な、櫻井?」
相葉君とのことを言っているのだろうか…
でもそれとこれとでは話の規模が違い過ぎる。
それに、二宮君にこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。
「えっと、あの…」
「味方は少ないより多い方がいいだろ?」
「それは…そうだけど…」
言葉に詰まった僕の肩を、潤が叩いた。