第7章 哀傷…
僕は智子の寝衣の前を重ね合わせると、釦を一つずつ嵌めて行った。
でもその手を智子の小さな手が止めた。
「兄さま…、智子、兄さまになら…」
止まることなく涙を流しながら、智子が濡れた瞳で僕を真っ直ぐに見つめる。
その目は真剣その物で…
僕は智子のその目から視線を逸らすことすら出来ずに、ゴクリと息を飲んだ。
「む、無理はしなくてもいいんだよ、智子? 僕は…」
「智子、無理なんてしてないわ…。だって兄さま言ってくれたでしょ? どんな智子も好きだ、って…。だから智子…」
なんて健気な…
僕は智子を強く抱きしめると、波打つ背中を優しく摩った。
「そうだね、僕はどんな智子も大好きだよ? でもね、だからこそ、智子に無理強いはしたくないんだ」
いつか…
その時が来たら…
「あ、そうだ…。智子、お腹は空いてないかい?」
僕は智子から離れると、テーブルの上に置いたままになっていたサンドウィッチを指差した。
「そう言えば…」
「だろ? じゃあ、僕は出ているから、先に着替えを済ませるといいよ」
僕は智子に背を向けると、まるで逃げるように智子の部屋を出た。
気付かれるわけにはいかなかったんだ…
この、僕の下腹部に感じる痛みを…欲情の証である膨らみを…
智子には…