第13章 雷の鳴る夜に ※三日月宗近R18
三日月に包み込まれるように抱きしめられて、私はすっかり安心した気持ちになっていた。
「そういえば三日月……なんでここに?」
「厠に行ったんだが、部屋が分からなくなってな。歩き回っていたら、主の叫び声が聞こえたものだから……」
三日月が本丸内で迷子になるのは、何度目だろう。
いつもは鶴丸国永か、今剣が迷子になった彼を部屋に連れて行ってくれるが、さすがに夜も迷子になるとは思ってないだろう。
「……三日月、夜に徘徊して迷子になるなんて、ほんとお爺ちゃんみたい」
「じじいだからな。けど……そのおかげで、そなたのところに来れた」
ごもっともだ。
彼が来てくれなければ、今も部屋の隅で泣いていただろう。
「……まだ、怖いか?」
「ううん。三日月がいるから、もう怖くないよ」
すると三日月は私の顎に手を添え、顔を少し持ち上げた。
「そうか、ならば主を窮地から救ったことへの誉を貰うとしよう」
「……ほまれ?」
ゆっくりと三日月の顔が近づき、気がつけば彼と唇を重ねていた。
温かくて柔らかい唇の感触に、私の胸は煩いくらいに早鐘を打つ。
やがて三日月が優しく私の唇を喰むと、彼の舌が唇をなぞる。
「ん……っ」
三日月の舌が私の唇を押し開き、ゆっくりと入ってくる。
ぬるっとした舌がお互いに絡み合い、その甘い感触に私の身体はキュンとなってしまう。
「ふっ……んぁっ」
角度を変えて何度も舌が絡み、重なった唇からくちゅくちゅと厭らしい音が響く。
三日月の唇が離れたかと思えば、名残惜しむように彼の舌先が私の口元を舐めた。
「確かに、もらったぞ。主の唇は柔らかくて心地よいな」
「ぁ、あの、三日月のは……き、きもちよかった……です」
「可愛いやつめ、そんな事を言われたら……やめてはやれないぞ?」
そう言って冗談っぽく笑う三日月は、いつもより美しく、艶めいて見えた。
これまで見たことのない彼の表情に、心臓がどきんと跳ねた。
「……みかづきっ」
やめないで。
そう言うかのように、彼の首元に抱きついた。