第10章 常世の国 ※加州清光R18
神様の顔に見惚れていると、彼は艶めいた笑顔を見せた。
「俺、加州清光。扱いづらいけど、性能はいい感じってね」
しまった。自分が名乗る前に、神様が名乗ってしまった。
きちんと挨拶しないと。
神様に失礼のないようにと言われていたのに。
「あ、私は……っ」
慌てて自分の名前を言おうとすると、加州は慌てて私の口を覆う。
「ちょっ、待って!なに?今もしかして名前言おうとした?」
「え……はい」
「……へぇ?」
加州はしばらく考え込むような顔をすると、何か納得したような表情になる。
彼が再び私の目をじっと見つめながら、ゆっくりと顔を寄せ、お互いの唇が重なり合った。
「えっ!?」
あまりにも自然に口付けられ、抵抗する間もなかった。
人生初の口付け。
唐突過ぎるし、なんで口付けられたかわからない。
「……なんで?」
「なんでって……あんたは審神者になったんでしょ?審神者はこういうことを俺たちとしなきゃいけないんだよ」
「うそ……っ」
加州の言葉に耳を疑った。
そんなこと、聞いてない。
「俺たち刀剣男士は力がないと、戦えない。傷を負っても治せないし、人の姿を保つにも力が必要なんだ。だから、主から力を貰う必要がある。主と触れ合わなきゃ、力は受け取れない」
「触れ合うだけなら、別に口付けなんてしなくても……」
加州から距離をとろうと後ずさろうとするが、加州は私の手をとると、手の甲に口付ける。
「こんな感じに?だめだよ。短刀達ならいいかもしれないけど、そんなんじゃ満足出来ないヤツはたくさんいるから」
「満足って……」
理不尽だ。
いくら相手が神様だからって横暴すぎる。