第10章 常世の国 ※加州清光R18
「じゃあ、現世に還る?ってか、還るとこあるの?」
「そんなのもちろ……ん」
ある。とハッキリ言えなかった。
私に還るとこは……あるの?
「あんたにさ、名を名乗れって教えたのは誰かな?審神者が俺たちの誰かに名を明かせば、あんたは現世に還れなくなる。そんなの常識だし、政府から言われなかった?」
加州が何を言っているか、理解出来なかった。
政府とのやり取りは、全て義両親がしていた。
それに、きちんと挨拶して、神様に名を問われたらきちんと言うように言ったのは……。
「……っ!?」
義母に何度も言い聞かされてきた。
そうか、義両親は知っていたんだ。
私が還れなくなることを。
本丸に送られた真実に愕然としていると、加州は私の身体を引き寄せ、強く抱き締めた。
「大丈夫。ここではみんながあんたを愛してあげるから。だから宜しくね……主」
加州は微笑んでいるというのに、私にはそれがすごく怖かった。
彼は私を布団に押し倒すと、覆い被さるように口付けた。