第6章 生徒指導の先生※歌仙兼定R18
「おはようございます」
「おはよう」
校門の前、先生は優しい笑みを浮かべながら生徒達に挨拶をしている。
私にも、あの笑顔を向けてもらいたい。
いつもの私なら、ウキウキしながら挨拶しただろう。
だけど、今はそれどころじゃない。
スカートのファスナーを開け、ブレザーと鞄で隠せる限界までスカートを下ろし、なんとか膝が微妙に隠れるくらいには出来た。
あとは、いかに不自然さを感じさせないように歩くかだ。
スカートが落ちないよう、手と鞄で押さえながら慎重に校門を通る。
大丈夫。
周りに溶け込むようにササっと行けば、私なんて気にならないだろう。
「おはようございます」
きっと、先生は私なんて気にも留めない。
だから大丈夫。
「…………待ちなさい」
大丈夫、私じゃない。
きっと、違う子だ。
「桜、待ちなさい」
「え……?」
私?
いや、だって違うでしょ。
頑張ってスカートこんなにずり下ろしてるんだからさ。
「後で生徒指導室に来なさい。なんでかは、わかるよね?」
「…………はい」
やっぱり、不自然だったか。
なんてついてないんだろう私。