第6章 生徒指導の先生※歌仙兼定R18
「おっはよー!」
「おはよう!あれ?いつもより早くない?」
「んー?そうかな?」
学校に行く途中、クラスメイトに声を掛ければ、いつも通りの他愛もない会話が始まる。
バイト先にイケメンがいたとか、今日の数学で小テストがあるとか、いつも通りの話。
そんな話をしながら、友人と学校へと向かう。
「ねぇ、今日って制服チェックの日だった?」
「え?先週やらなかった?」
制服チェックの日。
私の通う女子校では、隔週の水曜日に教員が校門に立ち、生徒のスカート丈や規定外の鞄や靴を使っていないかチェックされるのだ。
確か、先週やっていたから今週はやらないはず。
そのはずだった。
「ほら、あれ見てよ!古典の……ほら!先生立ってるよ⁉︎」
「え……えぇ⁉︎古典?」
古典の先生?
古典ってことは、あの人だ。
まるで、お伽話から出てきたかのような美しい顔立ちと、うっとりと聞き惚れてしまう声。
私の特別な人だ。
それなのに。
「桜、スカート折ってその丈?」
「…………違う」
今日のスカートは、先輩から譲り受けた短めのスカート。
長い丈のスカートはロッカーの中だ。
なんて運が悪いんだろう。