第33章 沖田総司の脇差※一期一振R18夢
「あまり、無理しないでね」
「恥ずかしい話ですが……主にも、似たようなことをよく言われます。自分のことも大切にしてほしいと」
一期一振は恥ずかしそうに笑う。
そっか、主も一期一振の負傷に気づいたんだ。
けど、よく言われれるってことは、毎回負傷したのを隠してるってことなのかな。
「私の負傷に気付いたのは、主と霧雨さんだけです。御二方は女性だからこそ、気付くものがあるのでしょうか……不思議ですね」
確かに。
どうして清光は気付かなかったのに、私と主だけなんだろう。
主は、やっぱり主だから?
「よく、わからないけど……役に立ててよかった」
「ご心配をお掛けしてすみませんでした。これに懲りて、次からはもっと気をつけます。ですがもし……また負傷したら、手当してくれますか?」
「私でお役に立てるのなら……いつでも」
手当ても終わり、包帯や塗り薬を風呂敷に仕舞うと、それを手に立ち上がる。
一期一振のこの様子なら、もう心配は必要なさそう。
「それじゃ、私はもう戻るね」
風呂敷を手にすると、部屋から出ようと立ち上がる。
薬を部屋に戻したら、稽古場にでも行こうかな。
それとも、厨にでも行って何か燭台切におやつでももらおうかな。
そう思いながら障子に手を掛けると、背後から声を掛けられた。
「霧雨さん、よければもう一つだけ、お願いしてもいいいですか?」
障子を開けた手に、一期一振の手が重なる。
傷を負っているからか、彼の手は熱くなっていて、その熱さに思わずドキッとしてしまった。