第33章 沖田総司の脇差※一期一振R18夢
清光と主に報告をしている間、ずっと一期一振のことが頭から離れなかった。
誉をとったこと、主に褒めてもらったというのに。
早く、一期一振のところへ行かなくてはならない。
そう心が急いてしまっていた。
「霧雨、なんかあった?様子おかしくない?せっかく主に褒めてもらったのに」
「なんでもないよ!それより私、行かなくちゃっ!」
「え、ちょっと!霧雨っ!?」
主の部屋を出ると、清光をその場に残して一目散に駆け出していた。
後ろの方で清光が私の名前を呼んでいたけれど、説明するわけにはいかない。
とにかく、自分の部屋へと急いだ。
「どこだっけ……えっと、そう、戸棚っ!」
部屋に入ると、戸棚を勢いよく開け、片付けたものを探す。
探し物は、最近は使うことがめっきり減った、薬箱だ。
薬研藤四郎に作ってもらった塗り薬が入っていて、とにかくあれがよく効く。
「あった!」
久しぶりに中を開けてみれば、何度もお世話になった包帯や様々な塗り薬が仕舞われていた。
よかった、まだ薬研にもらった塗り薬も残ってる。
あとは、一期一振のところに持って行くだけだ。
一期一振の部屋なら、場所は知っているし、私の部屋からそう遠くはない。
かつての私のように、負傷したことを隠しているのなら、誰にも見られずに彼の部屋に行く必要がある。
隠密行動は得意ではあるけれど、短刀の子達ほどではない。
目立たず、音をたてず、慎重にいかなくては。
戦装束のままでは目立つ。
慌てて武具を解き、内番着に着替えた。
刀を持っていくか悩んだが、身軽の方がいいから、仕方なく置いていく。
よし、いざ出陣!
……出陣、ではないか。
霧雨、参る!
心の中で呟くと、静かに一期一振の部屋へと向かった。