第33章 沖田総司の脇差※一期一振R18夢
「それでは、私は先を急ぎますので」
「じゃ、またね」
そう言って一期一振は、私達の横を通り過ぎていく。
その瞬間、先ほど感じた異質な匂いがまた、鼻をついたのだ。
今度は、はっきりと。
「……っ!」
僅かだったけれど、この匂いは。
間違いない、血の匂いだ。
慌てて振り返るが、一期一振は何事も無いように至って普通に歩いているし、戦装束も乱してはいない。
いつも通り。
けれど、何かが違う。
「…………一期一振、もしかして」
一期一振の笑顔に違和感を覚えたのも、私だから気付けたのだろう。
私には、わかる。きっと彼は。
けれど、今はただ遠ざかったいく一期一振の背中を見ていることしか出来ない。
「霧雨?ほら、行くよ?主に褒めてもらいたいんでしょ?」
「え?あ、うん……そうだったね」
「なに?一期一振にもっと褒められたかった?」
茶化すように笑う清光に、そんなことないよと言うと、今度こそ足を止めずに主の部屋を目指した。