第31章 沖田総司の脇差※三日月宗近R18夢
三日月はいくつかの軟膏を手に取った後、緑色の軟膏を手に取った。
それ、絶対違うやつ。
あかぎれとか、しもやけなら効くけど。
それ塗られたら、すっごくひりひりしてさらに痛いと思う。
「そして、霧雨が隊長を務める第三部隊。この部隊は見込みのある者をより経験の積める任務につかせる部隊だ。練度の高い者二振りを補佐につけ、第四部隊よりもさらに任務の難易度は上がるゆえ、負傷することも多かろう……」
そう言って、今度は桃色の軟膏を手に取った。
それ、保湿剤だ。
それも、傷に塗られたらひりひりしそう。
「だから、我慢して隠すことはない。怪我をしたなら、素直に言うべきだぞ」
「素直に?」
「ああ、傷を隠そうとするのは、山姥切だけで十分だ。まあ、あれは、主にだけは素直に言うらしいが。霧雨、お前は主だけでなく、周りにも素直に言うんだ。皆も嬉しがるだろう」
皆が嬉しがる。
その言葉で、三日月が虫刺され用の軟膏を手に取っていたのが、どうでもよくなった。
「嬉しがる?……女だから、私が怪我したのが嬉しいってこと?」
「そうではない。男は女子に頼られたいのだよ。胸の内を明かすような相談ごとをされたり、何かねだられたりな。それが霧雨からなら、尚更だ」
「よくわからない……」
私と親しく話をしてくれるのは、ごく僅かだ。
主の近侍である山姥切国広と、指南役のへし切長谷部、あとは同じ脇差や短刀の子達。
同じ新撰組だった刀とは話はするが、堀川国広や昔の事情を知らない加州清光以外は、どこかぎこちない。
なのに、そんな彼らが私に頼られたいと言うのは、何か違う気がした。
「なら、こう言えばわかるか?みな、霧雨と話したい。親しくなりたい。そして……霧雨に触れたい。もちろん……俺もな」
「み、三日月……っ」
三日月が、ようやく消毒薬を手に取ったことで、すっかりそちらに気を取られてしまっていた。
彼の瞳が、さっきとすっかり変わっていたことに。