第31章 沖田総司の脇差※三日月宗近R18夢
どうも、三日月といると調子が狂う気がする。
緊張が緩むというか、力が抜けるというか。
初めて会った時も、こんな雰囲気だったかな?
違ったとは、思うけど。
「どうした?」
「なんでもない、それで……その、話、聞いてくれるのでしょう?
「ああ、何なりと聞こう。なんなら一晩中でもいいぞ?」
なんだろう、この三日月のペース。
本当、調子狂う。
「その……どうして、私が隊長なんだろうって思って……だって、堀川の方が練度も経験も上なのに……なんで、まだ弱い私が……」
「何故、か……本当のことは、主にしかわからないかもしれないが……」
三日月は薬箱を手に取り、中を開けた。
消毒薬や当て布、いくつかの軟膏を手に取っては、目を細める。
大丈夫かな、三日月。
違う塗り薬とか塗られそう。
訝しげに三日月の手元を見るが、三日月はそんな私の視線を気にすることなく、話を続けた。
「隊長は、より多くの経験を得ることができる。任務に失敗したときも、成功したときもだ。荒療治かもしれないが、その分成長も早い。主は霧雨に早く成長してもらいたい。そう、思っているのではないか?」
「……そう、なのかな」
「納得していないようだな。この本丸には、四つの部隊がある。主戦力の第一部隊に、夜戦に長けたものだけで構成された第二部隊。そして、顕現したばかりの者たちを育成するための部隊が第三と第四部隊だ」
それは、私でもよく知っている。
そして、三日月はその主力部隊である第一部隊だ。
「第四部隊の隊長は、練度の低い者をより経験の詰める任務につけるよう、練度の高い者や、第一部隊の者が交代で隊長につく……霧雨も、かつて俺が第四部隊の隊長についたとき、いたな」
覚えていたんだ。
初めて部隊に配置された時、三日月が隊長だった。
三日月が隊長だったのは、あの日だけだったけど、私には特別なものだった。
一緒に出陣して、そこで見た彼の見事な太刀筋に目を奪われたのだ。
私が振るう、天然理心流や北辰一刀流とは違って、優美かつ力強い太刀筋。
私もそんな風に刀を振るえたら。
そう思った程だ。