• テキストサイズ

ショートなR18妄想【刀剣乱舞】

第31章 沖田総司の脇差※三日月宗近R18夢


三日月の部屋は、主のいる御殿と繋がった長い渡り廊下を進んだところにあった。
部屋というより、屋敷と言った方が近いだろう。
あまりにも、大きすぎる。

刀が生まれた時代に沿って部屋が作られているのかな。
障子で仕切られている私の部屋と違い、主の部屋にあるような御簾や、豪奢な屏風で部屋が仕切られている。

三日月は、綺麗な庭が見渡せる縁側に私を座らせる。
何だか、ここにいるのは場違いな気がする。
落ち着かなくてそわそわしていると、誰かが御簾ごしに三日月へ声を掛けた。

「三日月殿、お持ちしました」

「小狐丸か、早いな」

小狐丸と聞き、思わず振り返った。
彼も、三日月と同じで滅多に会わない男士だ。
つい、好奇心で彼の姿が見たくなってしまったのだ。

「急ぎ薬箱をと、使いのものから聞いたので。おや?可愛らしいお客様がいらしていたのですね」

小狐丸さんはにっこりと笑う。
山吹色の衣に、優美な歩き方。
小狐丸さんを見たのは初めてたっだけど、彼も三日月と同じでここの雰囲気が良く合う。

それはそうか。
彼も三日月と同じ平安時代の刀工、三条宗近が鍛えた一振りなのだから。

「どうぞ、ごゆるりと」

居心地悪そうにしていたのが、伝わってしまったのだろうか。
小狐丸さんはそう言うと、薬箱を置いて部屋から出て行ってしまった。

「気にするな、小狐丸は口が固い。誰にも言わないさ」

小狐丸さんが去った後も、彼が去って行った方を向いていたせいか、三日月がそう言った。

「ち、違くて……その、なんだか私、場違いだな……って」

「はっはっは、場違いか。そんなことはない」

三日月は大袈裟に笑うと、ふわりと彼の手が伸びてきて、私の頰に手を添えた。

「おぬしのように美しい女子の前では、美しい景色も霞んで見える」

美しい?私が?
そんなこと、言われたことあっただろうか。
ある?あったかな?あったような。

あ、前の主に言われたことある。
初めてあの人が私を見たときだ。
「この刃紋、美しきこと、この上ない」って。
けど……なんか、それとは違う気がする。
/ 275ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp