第5章 沖田総司の脇差※燭台切光忠R18
厨に近づくと、中から明かりがもれていた。
やだな、誰がいるんだろう。
「…………あっ!」
「あれ?霧雨ちゃんどうしたの?」
「お腹空いちゃって……」
厨にいたのは、燭台切光忠だった。
私はあまり背が高くないから、背が高い男士はちょっと怖いけど、燭台切はいつも優しいから怖くない。
燭台切なら、何か出してくれるかな。
「そうなんだ。シャインマスカットならあるけど、食べる?」
「……ますかっと?」
「んー、ぶどうかな。まずはひと粒どうぞ、種もないし、皮ごと食べられるよ」
やっぱり燭台切は優しいな。
私は燭台切に差し出されたぶどうを摘むと、ポイっと口に入れた。
「あまーいっ!もっと食べたいな」
種がないぶどう、初めて食べたかも。
けど、ひと粒じゃ物足りない。
それにまだ清光も遠征から戻りそうもないしなぁ。
つい、燭台切に悪さしてみたくなちゃった。