第5章 沖田総司の脇差※燭台切光忠R18
「燭台切、もうひと粒頂戴?」
「いいよ。はい、どうぞ」
燭台切はまたぶどうを差し出してくれたけど、私は手で受け取らなかった。
ぶどうを摘む燭台切の指に口を近づけると、そのままぶどうを口に含み、燭台切の指をペロリと舐めてみた。
「……っ、霧雨ちゃん?」
「ん?なに?」
露骨にやりすぎたかな。
けど、遠まわしに誘うの苦手だし。
「霧雨ちゃん、もしかして……」
「ねぇ……燭台切は甘いものは嫌い?」
燭台切は明らかに動揺してた。
燭台切は、そういうの興味ないのかな。
彼は黙ったまま、私の横をすり抜けて扉の方へ行ってしまった。
「…………」
なんだか恥ずかしくなっちゃった。
けど、振り返ってみたら燭台切は私に背を向けたまま、扉の前で立っていた。
「……嫌いじゃないよ。むしろ、好きかな」
カチャリと音を立て、燭台切が扉の鍵をかけると、彼はゆっくりと振り返った。
「なら……食べて?」
燭台切が明かりを消し、月明かりだけになった。
薄暗い中で見る燭台切の顔は、すごく雄々しく感じた。