第30章 癒されたい※へし切長谷部R18
長谷部に言われるがまま、奥の間で寝間着である薄桃の小袖姿になってから寝室に戻ると、布団が敷かれていた。
その横で長谷部がちょこんと座っている。
「少し、部屋を暗くさせて頂きました」
「ん……」
昼間だというのに、窓を閉め切ってしまうと、部屋が一気に暗く、静かに感じる。
薄暗い部屋に、長谷部と二人きり。
そんなことを今更意識してしまい、ドクンと心臓が早鐘を打った。
「主、どうしましたか?」
「え、あ……っなんでもない、です」
長谷部は、この状況を何とも思っていないのだろう。
いつも通りの表情、声音。
私だけが意識して、馬鹿みたいだ。
長谷部は手を差し出して、私を布団に横になるよう促す。
一歩、また一歩進むたびに心臓がだんだんと煩くなっていく。
「主、俺に全部任せて下さい」
そう言うと、長谷部の大きな手が私の体に触れた。
最初は遠慮がちに。
思わず体が強張ってしまったのがわかってしまったのだろうか。
やがて長谷部の手が、安心させるかのように優しく撫で、けれど力強く私に触れた。
「は……、……っ」
気持ちいい。
手の温かさも、力加減も。
ぐぐっと体を押されるたびに、じんわりと体が温かくなるのを感じる。
「ん……、ふ……っ」
首筋から、肩、腰へと、ゆっくりと体がほぐされていく。
長谷部の心地良いマッサージに、ふうと息をはきながら、ゆっくりと眠りに向かっていった。
そして、手が腰に触れたかと思った次の瞬間、むぎゅっとお尻をわし掴みにされた。
「あ……っ、ちょ!長谷部……っ!」
突然の感覚に、体がびくんと跳ねた。
「どうしましたか?」
体を起こして振り返れば、長谷部は平然とした顔をしていた。
これでは、私が過剰反応したみたいじゃないか。
いや、そうなのかもしれない。
長谷部はただ、マッサージをしているだけ。
勝手にドキドキしてるのは、私の方なのだ。
「な、なんでもないです……」
「そうですか。では、続けますよ」
「はい……」
長谷部は再び私のお尻に触れると、今度は優しく撫でるようにマッサージをした。
う、やっぱり感じてしまう。
けれど、純粋にマッサージをしてくれている長谷部に、手つきがいやらしいなどと言えるわけがなかった。