第30章 癒されたい※へし切長谷部R18
「主、お疲れなのではないですか?」
きっかけは、長谷部の一言だった。
確かに、最近は政府に送る書類作成の仕事ばかり。
ひどい時はロクに睡眠すら取れていない状態で行政府に行かなくてはならない時もあった。
そのせいだろう。
長谷部と出陣の編成について話している最中、うっかり寝そうになった。
いや、正直に言うと寝ていた。
なのに、近侍である長谷部は嫌な顔せず、むしろ私を気遣ってくれた。
なんて心根の優しい近侍なんだろう。
「ごめんなさい、少し……いや、かなり疲れてます。昨日も全然眠れなくて……」
つい、長谷部の優しさに甘えたくなってしまった。
こう言えば、ちょっとだけ仮眠させてもらえるかもしれない。
「そうでしたか。俺としたことが……主の不調にすぐに気づけず……くっ」
長谷部は悔しそうに眉根を寄せると、何か思いついたかのようにポンと手を打った。
「では主、少しお休みなってください!その間、僭越ながら俺が主のお体をマッサージをしますよ」
おお、少し休める。やった!と思ったの束の間。
長谷部がマッサージ?
長谷部、そんなことも出来るんだ。すごい。
けど、長谷部が私の体に触れるってことだよね。
マッサージされながら寝たら、さぞ気持ちいいだろうな。
けど恥ずかしいな。
その思いのせめぎ合いが顔に出ていたのか、長谷部は私が口を開く直前、おし切るように言った。
「俺に任せて下さい!こんな時のために、マッサージを教わりましたから!!」
一体、誰に?
そんな疑問が過ぎったが、長谷部の真面目な顔と勢い押され、どうでもよくなった。
「そう、なんだ。じゃあ、お願いしようかな」
とにかく、横になって少しでも寝たい。
私は長谷部に言われるがまま、執務室の隣にある寝室へと長谷部を招き入れた。