第25章 学校の先生※加州清光R18
「聞こえなかった?これで何回目かって聞いたんだよ?」
後ろからでは彼女の表情は見えない。
だけどきっと、想像通りの表情なんだろうな。
「さ……3回目です」
恐る恐る桜が振り返る。
やっぱり、だ。
悔しそうな表情で、走ったから息を切らしながら顔を真っ赤にした、その顔。
すごく、いじめたくなる。
「桜、なんでそんなに遅刻が多いわけ?」
「…………」
俯く桜の顔を覗き込むと、悪戯っぽく笑ってみせた。
桜は特別な生徒。
彼女に『指導』していいのは俺だけ。
今日で桜の遅刻は4回目。
今しがた、始業ベルが鳴ってしまったから。
「始業ベル、鳴っちゃったね。これで4回目の遅刻だね、桜?」
「き、今日のは加州先生のせいだと……思います」
「そっか、俺のせいにするんだ」
「そういうつもりじゃ、ないです」
「じゃあ、なに?」
上目づかいがちに俺の顔を見つめる桜。
顔を真っ赤にしながら潤んだ瞳を見ていると、今すぐにでも手に入れたくなっちゃうよ。
「それはっ!」
もちろん、彼女が何を言いたいのかなんて、最初から知ってる。
けど、知らないふり。
「…………」
「で?何?」
桜は何も言おうとしない。
「あーあ、仕方ないね桜。今日も桜には指導が必要みたい」
黙り込んだままの桜の腕を掴むと、人気のないところへと彼女を引っ張っていく。
誰もいないところじゃなきゃ、桜の指導は出来ないからね。