第25章 学校の先生※加州清光R18
私立刀剣女学院。
女だらけの園に集うのは、汚れをしらない純粋無垢な少女達。
……だけしかいないとは限らない。
真面目な生徒もいれば、明らかに校則違反な生徒も同じくらいいる。
今もこうして校門に立っていれば、服装規定にひっかる子はチラホラいる。
スカート短過ぎ過ぎ。
髪の毛明るい色に染め過ぎ。
学校指定の鞄じゃないし。
挙げたらキリがない。
けど、彼女たちはちょっとでも綺麗にしたいんだよね。
綺麗にしてないと大切な人に大事にしてもらえない、でしょ?
まぁ、一応注意はするけど、口先だけの軽い注意。
別に、深く生徒と関わろうとは思わない。
彼女、桜だけを覗いては。
始業ベル3分前。
校門の前で遅刻者チェックをするのが生徒指導の役割。
遅刻する人間は極僅かだけど、いるから。
ふと校門までの坂道を横目で見れば、弱音を吐きながらも、息を切らして走る女生徒の姿が目に映った。
「また……だね」
はあ、と呆れたように溜息をつくけど、微かだけどつい口元が緩んでしまう。
やっぱり彼女、桜だ。
桜からは見えない場所で、彼女が来るのを待った。
桜が校門に着くまで、あと少し。
本当に少しだ。
だが、坂道のせいで当人には途方もなく遠い道のりに見えるのだろう。
「あと少し、なのに…っ」
途中何度も足を止めては、真っ赤な顔をしながら校門に向かって走る桜の姿。
そして最後の力を振り絞り、一気に坂道を駆け上る。
「間に合ええぇぇぇ!」
気合いと共に走り、桜が校門をくぐったのは始業ベルがなる1分前。
このまま教室まで走り抜ければ間に合うだろう。
けれど。
「ねえ桜、これで何回目?」
「……っ!?」
彼女が校門をくぐった瞬間、逃がさないように背後から声をかければ、彼女は身体を硬直させ、こちらを振り向こうともしない。
声を掛けたのが誰なのか、分かっているから。