第23章 憧れの先生※一期一振R18
誰もいない、人目にもつきにくい、本棚と本棚の間の空間。
一期先生は何も言わずに、私と向き合っていた。
手は、掴まれたまま。
もしかして、ここで怒られるのかな、私。
怒りにくい内容だから、ここに連れてこられたのかも。
なら、覚悟を決めて謝っておこう。
「あの……先生、すみませ……んんっ」
謝ろうとした私の言葉を遮って、先生は私の唇を塞ぐ。
一期先生の、唇で。
初めて知った。先生の唇、すっごく柔らかいって。
暖かくって、気持ちがいい。
その感覚にうっとりしていると、ふと我に返る。
そうだ。
なんで、一期先生とキスしてるの、私。
「ん……っ」
グッと一期先生の胸を押すと、先生の唇が離れていく。
けれど、先生は私の体を離そうとはしなかった。
一期先生の顔が、すごく近い。
「一期先生、なんで……どうしてですか?」
戸惑いながら先生を見上げる私に、一期先生はふっと笑った。
「わからないこと、教えてあげると……言ったでしょう?」
そう言う一期先生の口調は艶っぽく、今まで見たことのない顔をしていた。
えっと、目の前にいる人は……本当にあの、一期先生?
「わからないこと……って」
え、なんで?
怒られるんじゃないの、私。
そもそも、わからないことって、何?
憧れの一期先生に、持っていたえっちな小説を見られた。
憧れの一期先生に、キスされた。
この事実に、私の頭の中はもう、ぐちゃぐちゃ。
この状況こそが、よくわからないってくらい。
「桜、君が持っていたあの本……あれに載っていたこと、桜は興味があるか、わからないって言いましたね?」
言いましたっけ、私。
「え…………あっ!」
いや、そういう意味じゃなかったけど、確かにわからないって言ったな、私!
「なら、私が教えてあげますよ」
「えっ?」
教えてあげる?何を?
え、まさか!
まさか、小説のような展開が?って、そんなわけないか。
色々と考えていると、考えていることを全て吹っ飛ばすかのように、一期先生の顔が近づいてきて、唇が重なった。
「んっ」
うそ、こんなことって……。
もしかして私、どこかで頭打って夢見てるのかも。
けど、唇から伝わってくる一期先生の唇の温もりと柔らかさは、確かに本物だった。