第19章 運命の出逢い※燭台切光忠R18夢
「あれ?あまり甘くない……間違って頼んじゃったかな」
差し出されたカフェラテを早速一口飲むと、一杯目とは味が違っていた。
甘さがなく、苦い。シロップを多めに追加と頼んだはずだったのだが。
燭台切は首を傾げながら、仕方なくガムシロップを入れることにした。
「ゔっ!あま……っ」
すると、背後から低めの声がし、何事かと燭台切が振り返ると、彼は息を呑んだ。
「……っ!?」
目の前にはコーヒーを手に顔をしかめる女性がいた。
だが燭台切が驚いたのは、そのしかめ面にではない。
彼女の審神者適正力だ。
息を呑むほど、彼女からは強い力感じられた。
たった一目で、燭台切を強く惹きつけるほどに。
「あ、の……」
気付けば、燭台切は彼女に声を掛けていた。
人に過大に干渉するのは禁じられていたが、そのようなことは頭からすっかり抜け落ちていたのだ。
「そのコーヒー、もしかして僕のかも。たぶんこっちが君のだけど……ひとくち飲んじゃった」
「…………」
しかめ面から一転、彼女は目を丸くしながら燭台切の顔を見上げた。
急に声を掛けたのは、不自然だったかもしれない。
「お詫びに、何かご馳走するよ」
「…………」
不審人物だと思われたのだろうか。
彼女は無言のまま、燭台切の顔をじっと見ているだけだった。
「えっと、近くに美味しいパンケーキ屋さんがあるんだけど……だめかな?」
「……い、行きます」
長い沈黙のあと、彼女は顔を俯かせて言った。
「よし、決まり」
彼女が耳まで真っ赤にしていることに気付き、燭台切は静かに笑った。