第18章 誕生日ケーキ※鶴丸国永R18
蝋燭を片手に、厨房を目指して暗い廊下をひたすら進んでいく。
意外とみんな、早く寝るのね。
一振りくらいは途中で出くわすと思ったのに。
結局、誰にも遭わずに厨房に到着。
ここまでくれば一安心だわ。
蝋燭をコトンと台の上に置き、厨房の灯りを点けようとする。
暗いせいか、なかなかスイッチが見つからなくてあせっていると、ガサガサと不穏な音がした。
「だ、だだだ……誰!?」
いや、誰じゃないかも。
ガサガサってもしかしたら、たぶん。
カサカサって動く、あれかも。
黒くて、速くて、ゴがつくアレ!!
慌てて蝋燭を手に取り、音のするほうに蝋燭を向けた。
カサカサ、じゃない。
ガサゴソ、ガタゴトって……誰かいる!
白くて、白い……幽霊!?
ど、どうしよう!!
叫びたいけれど、恐怖で声が出ない。
足もガクガクして、恐怖のどん底へと落ちていく中、ふいに聞き慣れた声が耳に届いた。
「おや……?そこにいるのは主じゃないか」
冷蔵庫の扉を閉め、ひょっこり顔を出したのは、鶴丸国永だった。
髪も衣服も白いせいで、暗いところにいたら、もはや幽霊にしか見えないから。
もう、紛らわしい。
「鶴丸、何しているの?」
「君こそ、こんな時間にどうした?さては……夜食を漁りにきたな?」
それ、鶴丸の方じゃない?
というか今こそ、驚いたかって言うところだと思う。
「違います!鶴丸と一緒にしないで」
鶴丸は、あちゃーっとした顔をしながら舌を出した。
全く、太刀なのに中身は子供かっ!
けど、その仕草に思わず笑ってしまった。
「それで?何かいいものは見つかったの?」
「それが、今夜は目ぼしいものがなくてな」
今夜はって……おい。
「ふーん、じゃあさ……ちょっと手伝ってくれたりしない?そしたら、いいものあげる」
「いいもの?」
そう言うと、鶴丸の目が光る
よっぽど、お腹が空いていたのだろうか。
「そう!いいもの!」
「……よし、主がそう言うのなら、仕方ない。手伝ってやってもいいぜ?」
助手、ゲットだぜ。
私は冷蔵庫や戸棚を開けると、何が作れるのかを確認した。
卵、牛乳、小麦粉、砂糖。
生クリームに、フルーツ。
お、意外と材料揃ってる。
これなら、パンケーキタワーが作れそうだわ。
必要な材料と、器具を台の上に置くと、鶴丸は興味深そうに私の手元を覗き込んでいた。