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【DMC】RED

第12章 闇の豪邸



「────っ」

金色の風が起こった瞬間は思わず目をつぶっていて、何も見えないまま移動をしていた。
ふわりとした優しい風以外何も感じない。周りはどうなっているのだろう。

途中で開けてもよかったのだが、何となく怖くて迷って。そのうち、ふっとライアの手が離れる。

「着きましたよ」

「……えっ」

まだ10秒も経っていない。こんなに早く着けるものなのだろうか。
これくらいなら、少しだけでも見ておきたかった。


はそろそろと目を開けた。
するとそこには。

「わぁ…」

太陽の光を受け、燦然と輝く闇の豪邸。見たこともないくらい大きい。
黒く妖しく艶めく建物に、は目を奪われた。

屋敷には入口の門があり、門から豪邸まで100メートルほどもある。
しかしその門は寂れていて、鎖が来訪者を追い返すように何重にも巻かれ、蔦が伸び放題で絡まっていた。
門がいらないならなくせばいいのに、わざと鎖と草で封鎖。何かを主張するように。


「すごく大きい家…うらやましいな。ここに、一人で住んでるの?」

「はい」

ライアは平然とうなずいていたが、信じられない。
なぜ一人でここに住んでいるのだろうか。

───こんなに大きい家、掃除とかどうするんだろ。やっぱり、使う部屋しか掃除しなかったりするのかな。

一人で掃除するには大変そうな広さだ。
大変というレベルでもない。むしろやる気がなくなる。
一人という事は使用人すらいないのだろう。
はライアの背中を見ながら考える。


彼はすたすたと到底開けられなさそうな門の前に立つと、おもむろに手をかざした。
その途端。

ざぁっと、まるで風化するように鎖も蔦も消え失せ、錆びていた門が新品のようにピカピカになる。

その光景に、は目を見張った。
にわかに信じられない。これは魔法だろうか。

───掃除、必要ないみたいね…

感心する。
ライアが門を押すと、 キィ…と軽くきしみながら開いた。

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