第23章 帰依
ああ、何か騒がしい。賑やか。
どうしたの? ダンテの声がする…。
「……っ!」
は飛び起きた。
ダンテとライアはどうなったのだろう。殴り合いをしたのか。
そう思っていたら。
「おー。起きたか! 何かここ天井ひっくいのな!」
見知った、懐かしい部屋と。
「の部屋なのだろうここは。入ってよかったのか?」
見知った、大好きな面々。
「様…」
綺麗な黒髪。輝く金色の瞳。桜色の薄い唇。
こちらを見つめた彼女は、ややあってためらうように瞳を伏せた。
少しだけ拒絶に対する恐怖。
少しだけ不安。
「私には夢はありません。とうに腐れ朽ち果てたものを夢とは呼べもしない…」
ふいと上を。上がる視線。
光を受けた金。
「しかし、目の前の夢を…守る事はできます」
その瞳の力強さ。
「貴女のお邪魔は致しません。危害を加えようとする輩がいるならば排除しましょう。どんなものであれ、貴女の夢を陰からお守りしますから…」
どうかこちらに来てしまった非礼をお許しください、と。
神に祈るような囁き。
言葉が出なくて。
驚いたらいいのか嘆いたらいいのか喜んだらいいのかわからなくて。
ただ返事をしなければと手を握って。
魔術師の優しさに締め付けられながら、私は。
笑顔を薄く浮かべる彼女に嬉しくなって。
「おいライア。俺のに触ってんじゃねえよ」
引き剥がされる。
抱き締める逞しい腕。暖かい体温。
人間離れしている整った顔。さらさらの銀糸。アイスブルーの瞳。
低い声。
優しさが灯る囁き。
一番の暖かい微笑み。
後ろにいた自分に倒れた私の顔を覗き込んで。
「よかったな、。元の世界に戻ったぜ」
愛する人が。
そこにいた。
...END Happy End!!