第11章 黒髪の誘い
───は…ダンテが他の女と仕事に出掛けたからといって、こんな事を…?
というかライアはいつ来た! いつ会った!
額に手をやり、必死に記憶をめぐらせるバージル。
は何かあればすぐにわかるが、ダンテと別れた時にはそんな素振りはなかった。
だとしたら、がライアと会ったのは彼女が部屋に行った後しかない。
───こんな短時間で一体いつの間に…
気配もなかった。あったら気づいているはずだ。
……そういえば、ダンテは妙な技を使われたと言っていたが、その類か……?
ぐるぐると回る。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
とりあえずわかるのは、は騙されているだろうという事だ。
ダンテを好きながこんな事をするはずがない。
騙されているとしか思えない。
催眠術にでもかけられたか?
「…………」
バージルは身を翻すと、急いで家を出た。
自分がいたというのにむざむざとを活かせてしまった失態は、この際脇に置いておかなければならない。
まずはダンテに、一刻も早く知らせなければ。