• テキストサイズ

【DMC】RED

第11章 黒髪の誘い



「───…」

ライアが息を飲むのがわかった。
は思わず、ライアを抱き締めていた。

死に直面し続けた人生。次々と負けて亡くなり続ける家族。
その中にいて、たった一人で今まで生きてきて、心細くなかったはずはない。辛く苦しくなかったはずはない。

彼ではない自分が、その苦しみを到底理解できるはずはないとわかっているけれど。
それでも彼が今こうして生きている事が。
生きようと足掻いている事が。

「がんばったね…」

ライアは抱き締め返して来なかったが、嫌がりもせずじっとしていた。

黒いローブごしに伝わる体温。
彼が、ちゃんとここに生きている証。

「───何度でも申し上げます」

ライアが静かに、厳かに口を開く。

「私は、貴方に来て頂きたい。貴方でなくては…もう、貴方しかいないのです」

「───うん」

は目を閉じた。
そうすれば、ライアの気持ちが伝わるような気がして。


「私は何をすればいいの?」

静かに問う。
彼に何かしてやりたかった。そうでなければ、あまりにも報われない。

「…生涯を共にすれば永遠の幸福が得られます。だけど私はもう、そんなものはいらない。せめて、様共に寝所を…力を分けて…」

「寝所…?」

「はい」

───寝るって…

かすめる不安。寝る、という単純な言葉の意味に戸惑う。
どちらの「寝る」? まさかあっちの意味じゃないよね…。

まだライアとは会ったばかりなのだ。そこまで要求する間柄ではない。もしそうなら、言ってくれるはずだと。
は信じた。

「わかった。一緒に寝よう」

割と簡単に返事をしてきたに、ライアが驚くのも無理はなかった。

「本当……に……?」

いいのか。
見た限り、とダンテは恋仲だろう。なのに…

「うん、いいよ」

はにっこりと笑い返事をする。
大丈夫。

/ 206ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp